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ビタミンCは、かぜだけでなく、がんにも効く

一九七〇年、生化学者のライナスーポーリング博士が衝撃的な発表をして以来、ビタミンCは、世界中から脚光を浴びることとなった。

ビタミン(Vitamin)とは、「生命(Vitamin)を与える物質」という意味である。人類最大の敵、がんをビタミンが倒してくれる、ビタミンはその意味するとおり、生きるために極めて重要な栄養素だということがあらためて確認されたのだが、その歴史は意外と新しい。

三大栄養素が動物の成長に必要なことはすでに一九世紀からよく知られていた。しかし、これ以外の物質(当時ビタミンという名前はなかった)も、生体において大事な役割をはたしていることがわかったのは、一九〇六年、オランダの医師クリスチャンーアイクマンが食べ物のなかに神経症を治療する因子があることを提唱してからのことだ。これがビタミン研究のはじまりである。

つまり一九〇六年以前は、三大栄養素はエネルギーになるだけでなく、細胞を組み立てる建築材料にもなることから、その重要性はよく知られていたが、これ以外の物質はどちらにもならないから、大事だと認められていなかった。

そして一九一一年、ポーフンド出身の生化学者カシミアーフンクは、脚気に効く物質を抗脚気ビタミン(のちにビタミンB1と命名)と呼んだ。一九二六年になって、ビタミンB1とCが、はじめて純粋なビタミンとして取り出された。以後、一九三七年にビタミンAとつづき、一九四八年にビタミン13 が純粋に分離された。わずか四二年のあいだに、それまで予測されていた一三個すべてのビタミンが発見されたのである。

ここでビタミンの命名について簡単に述べておこう。

一九一二年、ウィスコンシン大のエルナー・マッカラム教授は、シロネズミを成長させるには、バターや卵の黄身に含まれる。栄養素”が必要であることを報告した。この。栄養素”には壊血病、とり目、脚気に効く成分が入っていたが、純粋に取り出すことができなかった。そこで彼は、油に溶けるものを「A因子」、水に溶けるものを「B因子」と、二種類に分けるにとどまった。

それから七年後の一九一九年、イギリスの生化学者ドルモンドは、油に溶けるA因子でとり目を治す成分をビタミンA、水に溶けるB因子で脚気を治す成分をビタミンB、水に溶けるB因子のうち、壊血病を治す成分をビタミンCと名づけ、これ以降、発見されるビタミンにはD、E、F……といったアルファベット順に名をつけるよう提案したのである。